2022/1/1

願望は記憶である。苦悩も記憶である。成功しても失敗しても人生は続く。躊躇は最悪である。躊躇はマインドから来ており、本来の流れを妨げる。長年待ち望んだ役職につつき、行きたかった場所に立ち、会いたい人が目の前で笑い、使いきれないほどのカネが口座に貯まり、それでも私は虚しさをぬぐい切ることができないまま。言葉にしている時点で結果であって、煌めきは影を潜めてしまう。それこそが本当に欲しいものなのに。追いかけると逃げていくのに、ふとしたときに幸福だ。考えても埒が明かないね。創造は楽しい。ふと立ち止まると虚しいが、突っ走っているときは最高だ。

世界は動いている。それは感じることができる。眼、耳、肌、鼻、口。思いが浮かぶ。寒かったり、暑かったりする。美人に目を奪われる。大きな乳房を見つめるだけで、ぷっくりと膨れた唇を見つめるだけで、俺の股間は固くなる。湯に浸かり、心は開く。美味しいモノを食べる。善悪とは何だろう。そこで起こったことに思いを張り付ける。批評した後の後味が好きじゃない。父と母は普通に暮らしている。俺のことは忘れているかのようで、不思議と安心する。この体は世界に反応する。声をかけられ、それに応じる。見つめ合い、微笑む。風になびく黒髪からいい香りがする。丸みを帯びたお尻が魅力的だ。銀行残高の増減に一喜一憂する。減ったときには胸が張り詰める。この先食っていけるのだろうか、どれくらい待てば給料が振り込まれるのか、不安が頭を駆け回る。俺は未来を見ている。だがそんな思いも永遠には続かずに、気づいたときには消えている。目の前には壁がそびえたつ。受験、就職、退職、乗り越えなければ俺の人生はどうなってしまうのか、解決策を考えるが答えは浮かばない。気づいたときには彼方にいる。想定外の場所にいる。想像もできなかった場所にいる。記憶は嘘つきだ。俺は記憶を信用していない。それは間違えるからだ。俺は困難を乗り越えてきたのか、それとも眼に見えない導きがあるのか。あのとき別の道を行っていたら、そう思っても過去には戻れない。未来には無数の道があるようで、選ぶことすらできないようにも感じてしまう。導かれているのなら、それほど楽なことはないが、俺はまだ自分を信じていない。だから疑いが生まれる。怖気づいてしまう。そこにやってきた衝動を見過ごしてしまう。待っていれば何かがやってくる。欲望に掴まれてしまうというのは、待っていられないということ。一度間を置き、状況を俯瞰することで衝動を断ち切る。ほら、いまも心は疼いている。押し出されているみたいだ。そういうときは孤独を感じる。自分の力では引き留めることができない無力感に苛まれる。あの人をどれだけ自分のものにしたいと願っても、いつか別れがくる。文字通り、押し出されているみたいだ。呼吸と書けば、呼吸が現実となる。意識していないものは存在していないのではないか。あの時出会った人を思い出す。思い出さなければ存在すらしていないのではないか。また掴まれる。記憶は何度も繰り返す。その度にまた掴まれる。いまもほら。反応していれば、いつも同じことを繰り返してしまう。気になるあの子に話しかけられなかったし。恐怖は薄れてきている。先のことが想像もつかないからだ。対処のしようがないからだ。その場の出来事に対応していくしかできない。諦めといえばそうだが、不思議と恐怖がない。いまは落ち着いている。歪みは相変わらずひどいが、それを加味しても落ち着いている。あいつが死んで、あいつが結婚して、あいつが可愛い彼女と付き合って、あの子が彼氏と仲良しこよしで、相変わらず世界から置き去りにされているような感覚はあるが、それでもいまは落ち着いている。目の前に起きることが事実だ。記憶は本当に当てにならない。いま起きている出来事を躊躇する根源になっているかのようだ。むしろ害だ。カネ稼ぎをしたい。それもちょっとやそっとじゃない。その辺で出会う人間たちを突き抜けるほど圧倒的にカネ稼ぎをしたい。それは衝動的に起こったことで、俺には止めようがない。俺の内面からふつふつと湧き上がってくるから、この衝動を止めようがないのだ。俺にはそれしか見えない。それしか想像もつかない。目の前にはそれしか見えない。他のことなんて気にもならない。他人の言動すらどうでもいい。そんなところまできた。自分のことしか考えていないよ。