2021/8/14

1日に食べる量も、眠る時間も、どんな人間も同じようなものである。その事実は、一生使いきれない金を持っていたところで変わることがない。時間に追われる労働者は億万長者を夢見るが、金に困らない老人は暇を持て余し、気の抜けたコーラのように、あっという間にぼけていく。人間は自分が持っていないものに憧れ、目の前に見えている豊かさに気づけない。

経営に携わりたいと豪語し、期待されて新卒入社した会社を一年足らずで辞め、挙句の果てに、所謂底辺の作業労働をしている。この先どうなっていくのか分からない不安の中で、トレードにこの身を捧げる。以前は専業でやっていきたいと思っていたのだが、最近はどうやらそういう気持ちも薄らいできている。社会の歯車となって世に奉仕する喜びは、金をいくら持っているかなんて取るに足らないほどの充実感をもたらすのかもしれない。毎日外に出て他人と関わることで、リズムが生まれる。管理されるストレスが生じるからこそ、束の間の休日が待ち遠しいと思う。籠りきってトレードだけをするよりもよっぽどマシなのかもしれない。遠い国に夢を馳せるよりも、身近なところにある出来事を注意深く観察するほうがいいのかもしれない。