2021/4/21

 8時に起きる。夜の労働後に牛丼、コッペパンという糖分を食す。体は思ったよりも軽い。街へ繰り出してみる。金魚の目をした老人。女性は似たような化粧をしているのだろうか、同じ顔に見える。前髪で顔半分が隠れた若い男。パチンコ店に行列を作る人間たちは何を求めているのだろうか。駐輪禁止の看板を持った老人。ルイヴィトンが似合わない老婆。俯きながら通勤するリーマン。辻褄合わせの社会。電車は時間通りにやってくる。スマホにかじりつく。漫画喫茶の従業員は、客に来てほしくないように見えた。シャワーを使いたかったが、やんわりと断られる。怒りの感情が沸き上がるが、どこかへ消えた。街は様々な表情を見せる。自宅にいるだけでは味わえない揺れがある。歩いてまわりを見渡す。日差しが暑いくらいだ。夏が近づいてくる気配がする。ビルディングが乱立する。青空は狭く、遠くまで見渡すことができない。それぞれの世界に支配された人間たちは、どうしていいのか分からないまま、縮こまっているように見える。私の世界は少しネガティブなのかもしれない。偶然の出会いの中で、ただ皆と仲良く語り合いたいだけなのだ。それが私の望むすべてであり、先の願望に囚われる必要なんてないのである。家を美しいもので演出してみる。コーヒーをドリップする。窓をあけ、空気を入れ替える。湯を沸かす。床を掃除する。煙草の煙。音楽をかける。何かをするために私は生きている。目を惹く女性がそこにいるのなら、話しかければいい。企業へ投資をする。為替でトレードする。リッチになりたいのだ。この躍動感が私を奮い立たせる。生がリズミカルに踊る。そんな人生を送りたい。私の手からすべてがはじまる。動き始めようと思う。