2021/5/2

春になれば桜が咲く。新緑の夏。汗ばむ陽気。流れがある。乾いた風が喉元を冷やす。音楽に耳を傾ける。自分だけの世界がそこにはある。夜に人は寝静まる。昼間の騒音はどこへいったのか。ぼやけた光。青くて暗い。一瞬で拡散するゴシップ。繋がりあう人間。孤独がいつもの居場所となった。なに、そんなに居心地悪いものじゃない。突然の雨、コンクリートの匂いが漂ってくる。雷が鳴り、いつのまにか日差しが差し込んでくる。仕事に出かけたまま帰ってこない。私に近づいてきた女が数人いた。どこかへ去ってしまった。街を練り歩く。子供の無邪気な声、親の躾の声。緩やかな小川の流れる音。飛行機が飛んでいく。羽田が近いんだよ。今日も街は整然としていた。食料は隙間なく陳列されている。車が路上を行き交う。選挙宣伝、動物愛護、商品の売り子。時間は戻ることなく進んでいく。予定は入れたくない。ふいにやりたいことができなくなるからだ。何のために金を稼ぐのかなんて知る由もない。他に何をするのか分からないからだ。街全体が観察対象である。流れる音一つで雰囲気が和らぐ。心が穏やかになる。ざわつきはどこかへ消えていく。

安定した暮らし。結婚して子供を産む。難関大学を卒業して名の通った企業に就職する。固定観念が崩れていくことに恐怖を感じる。人生は私だけのもの。誰かに奪えるものでもない。憧れのあの人になることはできない。幸せかと聞いて幸せだと答える。そういうものなのだ。いつか消えていく儚きものに固執しても悲しいだけ。それじゃあ、一生虚しさを抱いたまま過ごせっていうのかよ。そんなことをよく考える。きりがない。きりがない。想像すれば夢に浸ることができる。太陽が輝くロサンゼルス。アメリカンな街並み。仕事に優劣はない。出会いと別れを繰り返す。山小屋にやってくる人々。パイプを咥える。歴史書を机に積み重ねる。正解はない。常に変化していく。自分の考えが、世の中の考えと食い違うことが多々ある。簡素な暮らし。先人の鼓動が聞こえてくる。できる限りのことをしてから死にたい。天から与えられたすべてを如何なく表現してから死にたい。もっとやっとけばよかったなんて死ぬ前に後悔するのは嫌だからだ。