朝が彼方へ消えていく

私に好意を寄せてくれた平本さんへ返事を返さなかった。一緒にいたいとは思わなかったからだ。不思議と惹かれる人間は、突如私の目の前に現れる。待てばいいのだ。風が強く、雨がだらだらと降り注ぎ、晴れ間がささない日がしばらく続いている。日の光を長らく浴びていないと、ほんの少しばかり憂鬱な気持ちになるのはどうしてだろう。ACCESSは私の前に現れた。上司も先輩も私の目の前に現れた。そして、彼らが、彼女らがこれまで経験してきたあらゆる知見を私へ伝えてくれる。それはとても愛のあるものに感じている。説教やふがいなさへの指摘も含め、身の保身のためではなく、愛のあるものに感じているのだ。それが感じられれば、何もいらないかといえば、そうでもない。世界の方に意識が傾くと碌なことがない。己惚れると、それを覆す悪い意味での想定外が起こるのはどうしてだろう。目の前のやるべきことをやっていると、誰に何を言われても、針を刺すような心の動揺がなく、前向きに受け止められるのはどうしてだろう。同じ人を目の前に語り合っているはずなのに、ひどく憎いときもあれば、緊張してわき汗が噴き出すほど震えるときもあれば、流れるように華が開くような温かさを感じる時もあるのはどうしてだろう。朝目覚めた瞬間に、孤独で乾き、この世に生まれてきたことを後悔することもあれば、まるで中空の竹のように空っぽで、すべてが繋がり、小鳥の鳴き声に小躍りするような状態であることもあるのはどうしてだろう。できれば永遠に幸福でありたい。できれば永遠に大好きな人のそばで笑い合っていたい。できれば永遠に勉学に没頭していたい。できれば永遠にささやかな美しさを味わっていたい。なのになぜ、苦しいことがあるのだろう。なのにどうして、嫌なこともやらないといけないのだろう。できれば永遠に幸福でありたいのに。夢を生きていたい。想定外のことが起こる。躊躇はいらないから、飛んで飛んで、宇宙すらも突き抜けてしまいたいというのに、地に這いつくばったまま飢えている瞬間が多い日々なのだ。