2020/06/28

目が覚めると肉体は振動し、瑞々しく、深く呼吸し、どこにも力が入っていない。

食べる量は以前の半分に減ったが、ある時点を境目に、痩せていく感覚はなくなった。

妄想にとらわれることは少なくなり(ゼロではないが)、心の動きを眺める癖がついてきた。どうだろう、狂っていた秒針が本来の時刻へ戻るように、体が極めて自然な状態へ戻ろうとしていることが直に感じられるようになってくる。これまで無理をして生きていたのだなあと思う。

何かをしたいという欲望ですら、私の目の前を通り過ぎてしまう。

行為は起こるだけで、流水の如く流れていく様をいつも眺めている。

呼吸はゆっくりと、子供のころに感じた懐かしい街の匂いも戻ってくる。

 

スマートでありたい。そんな思考をキャッチする。

海に潜り、地球の生き物と戯れていたい。

山へ登り、月を眺め、とどろく風と静寂を感じていたい。

街を散歩し、人間の活動する様を観察したい。

恋愛することに、未練がある。

誰かを好きになるという感覚がなくなっていく。

面白そうだからと始めた簿記は、今では仕事になり、1級を学ぶまでになった。

茶店で、興味のある本を読みたい。

何の役にも立たない人間臭い文章を読みたい。

しばらくは東京で生きる。

そんな思考をキャッチする。

人に会うよりも、肉体を整えることがいまやるべきこと。

体から聞こえてくるのだ。

 

すべて儚く、どこか彼方へ散っていく。

そんな様を眺めていると、私は寂しくなる。