霞をつかむようだ

目覚めると、そこは空っぽだった。

絡まっていた糸がほぐれていくように、スッキリとしていた。

本当に見ることができていた。

本当に聞くことができていた。

呼吸も深く落ち着いていた。

何もないから、思い煩うこともなかった。

食事が、深く浸透していくのを感じていた。

血の巡りも綺麗で安定していた。

向かうのではなく、全てが向こうからやってきた。

肉体の疲労すらも、心地が良かった。